非常に切ない映画です。
設定は旧東ドイツ。
言論、表現が国家によって厳重に管理されていた舞台芸術界。
劇作家のドライマンと女優のクリスタは深い絆で結ばれた恋人同士。
しかしこの作品ではそこに綺麗ごとは存在出来ない。
クリスタは権力者を相手にいとも簡単に一線を越え、また恋人の反体制的活動をチクる。
「大切な人を守るため」とか、よくあるそういうのではなく、あくまで「自らの保身のため」。
しかしそこには狡さや愚かさは無く、あるのは「人間の弱さ」。
そしてその弱さを巧みに利用する体制側の管理手法。
その辺りが静かに淡々と描かれています。
また、体制側の人間としてこの二人の生活を盗聴しているヴィースラー。
彼が「悪き人」なのかというと決してそうではく、彼は社会主義思想に信念を置き、曲がったことが許せないただ真っすぐなだけの人物。
ただひたすら盗聴し続けることだけが任務の日々。
この実直な彼が、体制に翻弄されるこの恋人たちに、実直であるが故に行動を起こします。
ありがちな「悪人が美しい物に触れて改心する」などという陳腐な設定ではありません。
そしてラストシーン。
色々なレビューサイトを見ると「ラストシーンで救われた」というような書き込みを割と見かけました。
でも僕はそうは思いませんでした。
このシーンでなお切なさが増しました。
切ない気持ちのピークが来ました。
見終わった後しばらく精神的に「落ちた」状態になってしまい、部屋に閉じこもって一人でスーパーファミコンとかやってしまいました。
休みの日に家族には悪いことをしました。
今日はどこかに連れて行ってやりたいと思います。
雨ですけど。
今回は沢田研二に本当に良い作品を教えていただきました。
オススメです。
ふうかの記録 2008/01/09(水) 05:23
